少子化対策、党の主だった提言盛り込む 書きぶりには濃淡

自民党の世耕弘成参院幹事長
自民党の世耕弘成参院幹事長

政府が31日に示した少子化対策の試案には、児童手当の所得制限撤廃など自民党の主だった提言が反映された。ただ、各施策の書きぶりには濃淡もにじむ。政府・与党は6月に決定する経済財政運営の指針「骨太の方針」に向け、実施の優先順位や予算規模、財源などを詰める。

「今回メニューに示されたものを中心に、網羅的にバランスをとってしっかり行っていくことが重要だ」

自民党の世耕弘成参院幹事長は31日、政府による試案の公表に先立つ記者会見で、少子化対策の進め方についてこう語った。

自民幹部らも積極的に対策を提言してきた。児童手当の所得制限撤廃は、茂木敏充幹事長が1月の衆院本会議の代表質問で提起した。加藤勝信厚生労働相や西村康稔経済産業相らが慎重論を唱えたが、試案は「所得制限を撤廃して、支給期間を高校卒業まで延長する」と明記した。

萩生田光一政調会長や茂木氏が訴えた新婚・子育て世帯への住宅支援についても「強化する」と書き込んだ。公的賃貸住宅への優先入居や空き家改修といった具体策も並んだ。

菅義偉前首相が問題意識を示した出産費用の保険適用も盛り込んだ。出産育児一時金の大幅引き上げや出産費用の「見える化」などを進めた上で「検討を行う」と打ち出した。

一方、小中学校の給食費無償化は「課題の整理を行う」との表現にとどまり、関連する記述は2行のみだった。茂木氏が導入を訴えたが、毎年5千億円近くの予算を要するとされ、政府内には「ほかの事業に充てた方がいい」(関係者)と否定的な意見が少なくない。自民関係者は「茂木氏の顔を立てて試案に入れたのだろうが、実現する保証はない」と危惧する。

自民は来週にも試案の内容を政府から聴取した上で、政策の優先順位などの検討に入る。党提言は茂木氏が本部長を務める「こども・若者」輝く未来創造本部が主導したが、今後は予算や財源論などにも踏み込むため、萩生田氏ら党政調も関与を強める見通しだ。(石鍋圭)

出産費用に保険適用検討 少子化対策の政府試案公表 

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