西村康稔経済産業相は31日の閣議後記者会見で先端半導体分野の輸出規制を強化するため外為法の省令を改正すると発表した。輸出時に経産相の許可が必要な半導体製造装置の対象を拡大する。中国を念頭に軍事転用可能な先端半導体の製造を妨げる狙いがある。経産省はパブリックコメント(意見公募)を行ったうえで、寄せられた意見を踏まえ改正した省令を5月に公布、7月に施行する予定。
米国は昨年10月、単独で対中輸出規制を強化し、半導体製造装置で高い技術力を持つ日本とオランダにも協力を求めていた。オランダは今月8日に規制案を公表。日本も足並みをそろえた形だ。西村氏は「特定の国を念頭に置くものではない」と説明。中国を名指しした規制にはなっていないが、中国の反発も懸念される。
微細な回路パターンを基板に焼き付ける露光装置や洗浄、検査に使う装置など計23品目が対象となる。今回の措置は先端半導体の製造装置に絞っており、汎用(はんよう)品向けの半導体製造装置は対象としていない。
日本では半導体製造装置大手の東京エレクトロンなど10社程度の事業に影響が生じる可能性がある。
日米オランダの3カ国はは今年1月、米首都ワシントンで開いた実務者協議で規制導入に合意していた。具体的な規制は3カ国がそれぞれ自国の法令に基づき実施する。オランダは露光装置を対象とし、夏前の導入を目指している。
先端半導体は人工知能(AI)などの高度な技術に不可欠で、経済安全保障の観点から各国が技術開発や安定確保を進めている。