政府は31日、少子化対策のたたき台となる「試案」を公表した。異常分娩に限られている出産費用の保険適用を正常分娩にも導入することを含め、出産支援の在り方を検討すると明記。現在は一部の高収入世帯が対象外の児童手当(1人当たり月額1万~1万5千円)の所得制限を撤廃し、支給期間を高校卒業まで延長する。学校給食費の無償化については「課題の整理を行う」との表現にとどめた。
試案では、今後3年間を少子化対策の集中取り組み期間と位置付け、優先度の高い政策を「こども・子育て支援加速化プラン」として取り組む。現金給付の強化を掲げ、児童手当を拡充する。所得制限撤廃などのほか、経済的負担感が強い多子世帯への手当額は諸外国の制度を参考に、加算する方向性を示した。具体的な対象や金額は6月の経済財政運営の指針「骨太の方針」取りまとめまでに結論を出す。
大学院の修士課程の学生を対象に、在学中の授業料支払いを免除し、卒業後に支払う「授業料後払い制度(仮称)」の令和6年度からの導入も盛り込んだ。奨学金も拡充し、出産をためらう要因になっている高等教育費負担の軽減を図る。
「こども誰でも通園制度(仮称)」の創設も検討する。親の就労要件を問わず、誰でも時間単位で保育所などを利用できるようにすることで、未就園の子供を持つ家庭が保育所などを利用できずに孤立するケースを防ぐ。1歳児と4~5歳児を受け持つ保育士の配置基準を手厚くする。
育児休業給付に関しては、産後の一定期間内に最大28日間、男女とも休業前の手取りの実質10割の金額に引き上げる。14%程度にとどまっている男性の育休取得率は、令和7年に50%、12年に85%の達成を目標とする。