【ニューヨーク=平田雄介】米東部ニューヨーク州の大陪審は3月30日、トランプ前大統領が2016年大統領選中の不倫発覚を防ぐため口止め料を支払った際、違法行為に関与したとされる疑惑でトランプ氏を刑事訴追(起訴)した。米主要メディアが伝えた。米大統領経験者が刑事訴追されるのは史上初めて。トランプ氏は24年大統領選への立候補を表明しており、打撃となる可能性がある。
訴追内容は公表されていないが、米CNNテレビはトランプ氏が「30以上の不正」に絡む罪状で起訴されたと報じた。トランプ氏は30日の声明で「完全に無罪だ」と主張し、「史上最高レベルの政治的迫害であり選挙干渉だ」と訴えた。
口止め料を巡っては別の事件の裁判で、16年大統領選の投票日の直前、トランプ氏と06年に不倫関係を持ったとされるポルノ女優に対し、元側近の弁護士が約13万ドル(約1700万円)を肩代わりして支払い、後にトランプ氏が弁済したことが判明している。
口止め料の支払い自体は違法でないとされるが、トランプ氏が弁済時の経費精算の名目を偽って処理したり、選挙資金法に違反したりした可能性が取り沙汰されている。トランプ氏の具体的な罪状は4月4日に見込まれる出頭の際に明らかにされる見通しだ。
トランプ氏が24年大統領選に向けた活動を続けることは法的に可能とされ、仮に有罪になっても禁錮刑を受ける可能性は低いとみられている。