【ニューヨーク=平田雄介】中国と南米ブラジルは3月30日までに、両国間の貿易取引の決済でそれぞれの自国通貨の人民元とレアルを用いることで合意した。中国ブラジル間の貿易や投資を促進する目的だが、決済に用いる米ドルへの依存を減らすことにもつながる。
経済規模で世界2位の中国と南米最大のブラジルの昨年の取引額は史上最高の1505億ドル(約19兆9820億円)。中国はロシアやパキスタンとも自国通貨決済の協定を結んでいる。今後、中国とブラジルの間で米ドルを介さない取引が増えれば、米国中心の国際金融システムに微妙な影響を与える可能性がある。
シンガポール紙ストレーツ・タイムズ(電子版)はブラジルとの合意を「無敵の米ドルに対する中国の新たな攻撃だ」と伝えた。
ブラジル貿易投資促進庁は29日の声明で「対中貿易のコストを減らし、貿易や投資をさらに促進することを期待している」と表明した。ブラジルにとって中国は2009年以降、米国を抜いて最大の貿易相手。
ブラジルはアルゼンチンとの貿易で使う共通通貨の創設へ協議することに合意しており、米ドル依存を減らす動きを強めている。