トランプ前米大統領の刑事訴追を判断した大陪審とは、どういった組織で、どのような役割を果たすのか。
Q 米国は陪審制をとっていると聞いた
A 裁判所が選んだ一般市民からなる陪審員が、裁判の事実認定などについて合議し、有罪か無罪の評決を下す。刑事裁判では陪審員の数は原則12人。有罪の場合は、その後、判事が量刑を言い渡す。
Q では大陪審とは
A 通常の陪審は、起訴後に事件に関して有罪か無罪かの判断を下す。一方、大陪審は、重罪に相当する犯罪を起訴するかどうかを決める。大陪審の陪審員は23人で構成される。規模が大きいので「大陪審」と呼ばれる。大陪審は証人を呼ぶこともでき、過半数の賛成で起訴が決まる。
Q なぜ非公開なのか
A 不起訴となった場合に捜査を受けた人の名誉が傷つくのを防ぐためだ。陪審員を脅迫から守る目的もある。
Q 過去に政治家を捜査したことは
A クリントン元大統領が南部アーカンソー州の知事時代に土地開発・不正融資に関与したとのホワイトウォーター疑惑を巡り、大陪審が設置された。クリントン夫妻が捜査対象となったが、不起訴になった。
Q トランプ氏はどうなる
A 検察当局の起訴を受け、トランプ氏はニューヨーク州検察に出頭し、指紋採取や顔写真の撮影に応じた後、罪状認否のため裁判所に出廷しなければならない。拒絶した場合は逮捕される可能性もある。
Q 裁判の見通しは
A ニューヨークでは起訴から1年後を目途に裁判が始まるのが通例だ。トランプ氏は2024年大統領選への出馬を表明しており、選挙活動と裁判に同時並行で取り組むことになりそうだ。(塩原永久 ニューヨーク 平田雄介)