【ロンドン=板東和正】北欧フィンランドの北大西洋条約機構(NATO)加盟が30日決定した。加盟国トルコの議会が同日、フィンランド加盟の議定書を承認する法案を可決し、加盟30カ国全ての批准手続きが完了した。ロイター通信などが報じた。事務的な手続きを経て近く正式加盟する。新規加盟は2020年の北マケドニア以来。NATOの拡大が確定したことで、ロシアの反発は必至とみられる。
フィンランドはミサイル装備やサイバー防衛などで高い能力を誇る。NATOのストルテンベルグ事務総長は同日、ツイッターで「NATO全体がより強く、安全になる」と強調した。フィンランドのニーニスト大統領も31日、ツイッターで「強力で有能な加盟国になる」と宣言した。
フィンランドは昨年5月、同じ北欧のスウェーデンとともにNATO加盟の申請書をNATO本部に提出。両国はウクライナを侵略したロシアの脅威の高まりを受け、伝統的な軍事中立路線を転換させた。
ただ、両国は同時加盟を目指していたが、トルコはフィンランドのみの加盟を容認し、スウェーデンについては、反テロ協力が不十分だとして批准を先送りにした。東欧のハンガリーもスウェーデンの批准手続きを完了していない。
スウェーデンのビルストロム外相は3月30日、NATO首脳会議が開かれる7月までに自国が加盟できるかについて確信が持てないとの認識を示した。
北欧2国がNATOに同時加盟すれば、戦略的に重要なバルト海の大半をNATO加盟国が取り囲み、「ロシア包囲網」の強化につながるとみられていた。