健康維持に良いとされる歩行目標「1日8千歩」について、京都大などの研究グループは週1~2日の頻度でも、週に半数以上歩く人とほぼ同等に死亡リスクを低下させる効果があるとの研究結果を発表した。仕事の都合や体調などで毎日歩くことが難しい人でも、週に数回の習慣を取り入れることが健康のカギになりそうだ。研究結果は29日付の国際学術誌電子版に掲載された。
これまでの研究で、平均的に1日8千歩以上歩く人の死亡率が低くなることは判明していたが、週に数日だけの場合の影響はわかっていなかった。京大大学院医学研究科の井上浩輔助教(社会疫学)らの研究グループは、歩数について客観的な数字のある米国の調査データを使い、20歳以上の男女約3100人について1週間に8千歩以上歩いた日数と、10年後の死亡率の関連性を検証した。
その結果、週に0日の集団と比べ、週1~2回の集団の死亡率は14・9%減少した。3回以上の集団は16・5%の減少で、研究グループは「週に1~2回でも毎日歩く人と大きく変わらないほどの死亡リスク低下が認められる」と指摘。心臓や血管疾患による死亡率も同様に下がったほか、どの年齢層や性別でも同じ傾向が確認できたという。
井上助教は「毎日は難しくても、週に数日間でもしっかりと歩くことで健康効果が得られる可能性がある」と述べ、歩数を簡単に計測できるスマートフォンやウエアラブル端末などを活用した歩行習慣を取り入れることが重要だとした。(杉侑里香)