PHS、28年の歴史に幕 3月終了 内線としては存続

日本発の簡易型携帯電話「PHS」の外線サービスが3月31日で役割を終える。最後まで提供を続けたソフトバンクが撤退し、約28年の歴史に幕を閉じる。携帯電話に比べた料金の安さからピーク時の契約者数は平成9年に700万件に達したが、携帯電話の料金値下げやスマートフォンの普及により次第に契約者数を減らした。内線電話として病院内などでの利用は続く見通しだが、外線通話は利用できなくなる。

ソフトバンクは一般向けの音声通話を令和3年1月31日で終了しており、その後はエレベーターや駐車場でオペレーターと通話したり、利用状況を計測したりする法人向け用途に限定して利用されていた。こうした用途は携帯電話料金の値下がりの前は「PHSの方がコストが安く、携帯電話の10分の1程度だった」(ソフトバンクのデータソリューション戦略室の白鳥裕二室長)が、現在は携帯電話回線への切り替えが進んでいるという。

平成7年7月に始まったPHSは、家庭内のコードレス電話を家庭の外でも使えるようにという発想から生まれた。携帯電話が3分数百円の時代に3分40円程度の格安料金だったため、携帯電話に先行して普及した。

携帯電話回線よりも高速通信ができたことから、NTTドコモの「iモード」よりも先に画像や天気予報などの情報をインターネット経由で楽しめるサービスも始まった。iPhone(アイフォーン)の国内発売より3年も前にスマートフォンを市場に投入していた。しかし、携帯電話回線の高速化や料金値下げにより想定以上に早くピークを迎えることとなり、その後は衰退の一途だった。

ただ、PHSが完全になくなるわけではない。内線電話としてのインフラが整備されている病院などの公共施設内では、使い慣れた電話機として今後も利用される見通しだ。

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