日本維新の会と国民民主党、衆院会派「有志の会」は30日、共同でまとめた緊急事態条項の憲法改正条文案と概要を発表した。選挙が困難なときに国会議員任期の6カ月延長を可能とするのが柱。改憲論議に前向きでない立憲民主党を牽制し、衆院憲法審査会での議論を加速させる狙いがある。
憲法は、衆院議員の任期を4年、参院議員は6年とそれぞれ明記している。3党派と与党は憲法改正で緊急事態条項を新設し、緊急時に限って任期延長を可能にしておくべきだと主張している。
今回の3党派案では、武力攻撃や内乱・テロ、自然災害、感染症の蔓延など5つの事態を想定。「広範な地域において国政選挙の適正な実施が70日を超えて困難であることが明らか」な場合、内閣の発議と国会の議決(3分の2以上の多数)を経て、6カ月(再延長可能)を上限に任期延長を認めるとの方針を示した。
また、憲法裁判所の関与の必要性などは今国会中に成案を得ることを目指し、内閣が法律に代わって制定する緊急政令や緊急財政処分の規定に関しては引き続き検討を進めるとした。
国民民主の玉木雄一郎代表は同日の記者会見で「野党が党派を超えて成案をまとめあげたのは画期的だ。憲法審査会で具体的な条文づくりにつなげていきたい」と強調した。同席した維新の馬場伸幸代表も「憲法改正発議に向けたエンジン役を担いたい」と述べた。
一方、与野党は30日の衆院憲法審で、国会議員の任期延長を含む緊急事態条項の新設について討議した。立民は任期延長に関し、参院の緊急集会で対応できないと明確になった場合は議論すべきだと指摘した。自民党は任期延長を巡る裁判所の関与の在り方を深掘りするよう求めた。