全国で2番目に多い鈴木姓のルーツとされる和歌山県海南市の「鈴木屋敷」の復元工事が完了し、30日、現地で完成を祝う儀式が行われた。江戸時代末期に建てられて以降、増改築を繰り返してきた屋敷の一部を活用した木造本瓦ぶきの平屋建て。昭和17年に一族が途絶えて老朽化していたが、市が企業版ふるさと納税の活用などで事業費約1億9千万円を確保し、往年の姿をよみがえらせた。
鈴木姓は平安時代末期、紀伊半島南部の熊野地方から、現在の海南市の藤白(ふじしろ)神社境内に移り住んだ豪族がルーツとされる。
一族は昭和17年、122代当主が亡くなり途絶えたが、それまで全国各地に熊野信仰を熱心に布教して回ったため、鈴木姓が全国に増えたとされる。
一族が住んだ鈴木屋敷は空き家となり、老朽化していたが、平成27年、屋敷を含む神社境内などが国史跡に追加されたことを機に、市が復元計画を進めた。屋敷を描いた江戸時代の地誌「紀伊国名所図会」などを参考に、現存する建物を生かしつつ、土間や座敷を備えた延べ床面積約136平方メートルの平屋建て建物や庭園などが再現された。
この日は、首都圏の鈴木姓の人らでつくる「関東藤白鈴木会」の鈴木久元会長(85)も儀式に参列。「予想よりも立派な建物でうれしい」と喜んだ。
完成した屋敷は4月1日から、有料で一般公開される。