自衛隊制服組トップの統合幕僚長に、前陸上幕僚長の吉田圭秀氏(60)が30日、着任した。今回の統合幕僚長人事は、陸海空の各自衛隊から均等に選んできた慣例を破り、2代続けて陸自出身者を充てる初のケースとなった。吉田氏は、防衛大学校出身でないという点も歴代の統幕長とは異なる。「改革へ臨む柔軟さ」(防衛省幹部)を評価された吉田氏は、喫緊の課題である防衛力の抜本的強化に加え、常設の「統合司令部」新設という難題にも挑む。
「いかなる時も諸官の先頭に立ち、持てる力の全てを尽くして職責を全うすることをここに誓う」。防衛省で30日に行われた着任式で、吉田氏は自衛隊幹部らを前にこう宣誓した。
冷戦期の昭和61年に陸自へ入隊した吉田氏は、対ソ連の最前線だった北海道・留萌の第26普通科連隊へ配属された。基幹部隊で厳しい指導を経験したことで、日頃から口にする「人を大切にし、人を育てる」姿勢を重視するようになった。