国交省元事務次官、民間会社に国交省OBの社長就任要求か

東京・霞が関の国土交通省
東京・霞が関の国土交通省

国土交通省の元事務次官が昨年12月、羽田空港などの施設管理や運営を手がける東証プライム上場の「空港施設」(東京都大田区)に対し、国交省OBの副社長を今年6月に予定されている役員人事で社長に昇格させるよう求めていたことが30日、分かった。同社の乗田俊明社長が同日、都内で報道陣の取材に応じ、元次官の本田勝・東京メトロ会長から「(社長に就任した場合は)国交省としてあらゆる形でサポートする」と持ち掛けられたと明らかにした。

関係者や乗田氏によると、本田氏は昨年12月13日午後、同社を訪れ、国交省の元東京航空局長だった同社副社長を社長に昇格させるよう要求。その際、本田氏は自らを「国交省OBの名代」としたうえで、「方針が固まった」と語ったという。乗田氏ら同社側は「上場会社であり、取締役候補者は指名委員会で決める手続きになっている」として要求に難色を示した。

「空港施設」は昭和45年2月の設立以来、国交省OBらが社長に就任。令和3年6月に日本航空(JAL)出身の乗田氏が初めて民間から社長に就任していた。乗田氏は「私の前までは国交省出身の方が社長を務めていたので、そういうこと(意向)かと受け止めた」という。

国交省は同社の貨物施設の事業などで許認可権を持っており、利害関係のある民間企業の人事に介入した疑いがある。乗田氏は「今のコーポレートガバナンス(企業統治)の枠組みの中ではやってはいけないことだと思っている」と強調。「(訪問は)正直、唐突な感じがした」と述べた。

国交省人事課は「省として関与していない。上場企業である民間企業の役員人事に対し、コメントする立場にもない」としている。

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