【ワシントン=大内清】バイデン米大統領が主宰する2回目の「民主主義サミット」は初日の29日、各国首脳らによるオンライン演説などが行われた。ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアのプーチン政権によるウクライナ侵略は「自由と民主主義に対する戦争だ。民主主義の敵は打ち破られなければならない」と訴え、国際社会の結集を呼びかけた。
またバイデン政権は同日、人権尊重や自由で公正な選挙、公平な司法制度、汚職防止などの民主主義の諸原則に加え、国際法の順守やデジタル技術の適正な利用、サイバー空間での人権擁護といったグローバルな課題への取り組みも加速させることをうたった「民主主義サミット宣言」を発表した。
ただ、招待を受けた約120カ国・地域のうち、同宣言への支持を表明したのは約6割の73カ国・地域にとどまった。それらのうち、バイデン政権が中国との競争をにらんでインド太平洋の重要パートナーとみなすインドや、中東における米国の最重要同盟国であるイスラエル、欧州連合(EU)加盟国のポーランドなどは宣言の一部内容への支持を留保。民主主義の理念をキーワードに国際社会を結集することの難しさが浮き彫りとなった。
サミットは30日、先端テクノロジーを民主主義の促進にどう生かすかや、メディアの役割などをテーマに学識経験者や民間企業幹部らも交えた議論を行い、閉幕する。