【ソウル=桜井紀雄】韓国大統領府は30日、東京電力福島第1原発事故を受けて続けている水産物の輸入規制について「福島産水産物が国内に入ることは決してない」と禁輸を継続する方針を表明した。16日の日韓首脳会談で日本側が禁輸の緩和を要請したことを巡り、韓国野党が不安をあおって尹錫悦政権への批判を展開。世論の反発の高まりに釈明を迫られた形だ。
大統領府は、水産物の禁輸について「国民の健康と安全が最優先という政府の立場に変わりない」と説明した。尹大統領との首脳会談では、岸田文雄首相が「科学的根拠に基づき緩和してもらいたい」と禁輸の緩和を促していた。
韓国では、福島や宮城、岩手など8県の水産物の輸入を禁じている。日本が計画する同原発処理水の海洋放出についても「汚染水放出」だとして不安をかき立てる報道が続いてきた。
いわゆる徴用工訴訟問題で韓国の財団が賠償金を支出する解決策を示した尹政権に対し、「屈辱外交」と非難してきた最大野党「共に民主党」の李在明代表は「放射能に汚染された農水産物が入ってくる可能性が高い」と国民の不安をあおる批判を展開している。