ウクライナのレズニコフ国防相は、欧州諸国から供与されたドイツ製主力戦車「レオパルト2」をウクライナ軍が4~5月に前線に投入し、本格的な反攻作戦を開始するとの見通しを示した。エストニアメディアへのインタビューの発言を29日、ウクライナメディアが伝えた。レオパルト2は現在、ウクライナへの引き渡しが着々と進んでいる。
レズニコフ氏は、いつ米欧製の主力戦車を前線に投入するかとした質問に「複数の方面で反攻が計画されている。いつ開始するかは気象状況も踏まえて軍参謀本部が決定する」と指摘。ウクライナでは春に地表がぬかるむため、戦車などのキャタピラ車両しか使用できないとし、「4月か5月には戦車を見ることができるだろう」と述べた。
ウクライナのゼレンスキー大統領も3月29日のビデオ声明で「今後の数カ月でウクライナ軍は前線でさらに活発に活動するだろう」と述べ、近く反攻を開始する可能性を示唆した。
タス通信によると、ドネツク州の親露派武装勢力トップ、プシリン氏も同日までに、露国営テレビで「ウクライナ軍が反攻に向けて予備軍と装備を集結させている」との認識を示した。
一方、前線の戦況を巡り、ウクライナ軍参謀本部は29日、激戦が続く東部ドネツク州バフムトで「露軍が部分的な成功を収めているが、ウクライナ軍が陣地を保持し、露軍を撃退し続けている」と発表した。
バフムトでの戦闘で露軍側の主力を担う露民間軍事会社「ワグネル」トップのプリゴジン氏は29日、交流サイト(SNS)で「バフムトのウクライナ軍を実質的に壊滅させた」と主張。一方で「ワグネル部隊もぼろぼろになった」とし、自社部隊の損害を認めた。
米シンクタンク「戦争研究所」は28日、ワグネル部隊がバフムトの中心部方面に前進していると指摘。戦闘の中心はウクライナ軍が保持する市内西部に移りつつあると分析した。
ウクライナはバフムトでの戦闘で露軍を足止めして損耗させつつ、米欧戦車が戦力化され次第、反攻に転じる方針を示している。