間もなく迎える新年度。卒業そして入学と生活の場が切り替わるのに合わせて使わなくなった学用品を防災グッズにしてみたり、子供に防災に関する知識を教えたり、親子で防災を考えてみるといいかもしれない。警視庁災害対策課の課員らが、子供の成長に合わせてツイッターに投稿した防災の話題が参考になりそうだ。
思い出の品を活用
《思い出が詰まったランドセルの今後について家族で話し合ったところ、子供から「防災バックに活用できるのでは…」と。我が家では、生涯の宝物になりました》
災害対策課の石井稔警部補(52)は、子供の小学校卒業を機にランドセルの使い道を家族で話し合ったという。一部を切り取って財布にする案も出たというが、形を残したいということで、学校で見たという防災バッグにすることを決めた。
ランドセルの中には勉強道具の代わりに、水やライト、スナック菓子などの非常食のほかに、避難所でのちょっとした運動にとけん玉を入れた。時間割を入れる部分には、収めたものの一覧表を入れた。
ランドセルを有効活用して残せたことを家族は喜んでいたといい、石井さんは「ランドセルは丈夫なので長く残すことができる。親から子へ、子から孫へ、防災への気持ちをつないでいきたい」と話した。
成長に合わせて
同課の吉岡俊樹警部補(42)は第2子が生まれたことを機に、赤ちゃん用の備蓄ボックスを準備した。
《ミルク、紙おむつ、おしりふき、赤ちゃん用のミネラルウォーターを入れた専用の備蓄ボックスを準備しました。(中略)赤ちゃんがいらっしゃるご家庭にぜひおすすめします》
入れているものが一目で分かり、緊急時も持ち運べる大きさのボックスを選んだ。
吉岡さんは、その1年後、赤ちゃん用備蓄ボックスの中身を成長に合ったものに入れ替えたこともツイートで紹介した。
《卒乳したことから、備蓄ボックスの中身の入れ替えを行いました。お気に入りのおやつやベビーフードを充実させ、紙オムツのサイズをワンサイズ大きいものに交換しました。取り出した紙オムツやミルクは、共助の精神で近所の赤ちゃんのいるご家庭にプレゼントしました》
吉岡さんは「使わなかったものはローリングストックするなどして、1年に1度は入れ替えしていきたい」と話す。
さらに吉岡さんは、長男(5)の誕生日に、災害用品を入れたリュックサックをプレゼントした。
《非常食等を詰め込み、指定避難所まで歩いてみました。長男は遠足気分で楽しかったのか「お父さん、また今度も行ってみよう。」と上機嫌。他の経路でもたどり着けるようまたチャレンジしたいと思います》
吉岡さんは、「地震が来たら机の下に潜る」ということや家具の転倒防止など、機を見ては子供たちに防災の知識を教えているという。
「引っ越しや入学などで新しい生活が始まるのを前に、近くの避難所を実際に探したり、自治体のホームページでチェックしたりといったことを、子供と一緒にやってみるのもいいと思います」
防災の〝英才教育〟はいつ始めても遅くない。春休みの間にできることを、楽しみながら親子でやってみよう。(大渡美咲)