世界の耳目がロシアのウクライナ侵略に集まる中、ほぼ〝ノーマーク〟の中東で戦争につながりかねない危険な火種がくすぶり始めた。要因は、①イランで核兵器級に迫る高濃縮ウランの検出②断交していたイランとサウジアラビアの外交関係正常化合意③イスラエルで燃え盛るイスラエル人による反政権デモ-の3点だ。
濃縮度83・7%の劇薬
イランの核開発を制限し、見返りに米欧が経済制裁を解除する「イラン核合意」の検証に当たる国際原子力機関(IAEA)は2月28日、イラン中部フォルドゥの施設で1月に濃縮度83・7%のウラン粒子を検知したと発表した。核兵器製造に必要な90%に迫る濃縮度で、衝撃が広がった。