日米でEV同盟 国内電池関連企業からは歓迎の声

日米が両国の自動車産業強化で歩み寄った。米国の電気自動車(EV)優遇策の要件緩和に、日本の電池関連企業からは28日、歓迎する声が上がった。税額控除を受けるには、引き続き北米で完成車両を組み立てるという制約は残るが、日本の自動車メーカーは現地での工場の建設計画を相次ぎ表明している。日米双方の得意分野を生かし、EV時代を勝ち抜く〝同盟〟再構築の一歩となる。

EVの性能は車載バッテリーに左右され、ニッケルやコバルトなどを塗布した正極材や負極材、セパレーターなど幅広い部材が使われている。「重要鉱物を取り扱う国内企業の数は多い」(経済産業省幹部)という。

日本国内で製造したバッテリー材料が米国でも認められる方向となり、正極材を手がける住友金属鉱山は「場合によっては米国に工場を建設しなければいけなかった。選択肢が広がった」と今回の要件緩和を歓迎した。国内の自動車メーカー幹部も「今までのサプライチェーン(供給網)を変えなくて済むのは大きい」と喜ぶ。

一方で、税額控除を受けるには北米で車両の最終組み立てを行う必要がある。ドイツのフォルクスワーゲン(VW)は今月、米国とカナダに組立工場と電池工場を建設すると発表した。EV専業のテスラも今月にメキシコに世界で5カ所目となる工場を新設することを明かすなど、EVシフトが活発だ。

日本勢ではトヨタ自動車やホンダが米国で組立工場と電池の工場を建設する計画を発表している。北米のシェアが大きい日産自動車やマツダ、SUBARU(スバル)も対策を示すとみられる。

外務省幹部は、今回の交渉は1月の日米首脳会談がきっかけだったと指摘。米財務省がEV優遇策の具体的な要件を公表する期日が迫る中、約2カ月の突貫交渉を実現させた舞台裏を述べ、さらなるEV協力に期待を寄せた。(黄金崎元)

米EV税優遇、日本も対象 電池材料調達で協力


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