伊藤忠商事は29日、バーチャルユーチューバー(Vチューバー)を起用した医師向け動画コンテンツを制作し、医師専用ウェブサイトで実証を開始したと発表した。Vチューバーを起用した医師向けコンテンツは初めてで、伊藤忠は実証で得られる医師の視聴データやVチューバーに対する反応などを分析し、製薬企業にVチューバーを起用した動画コンテンツやオンライン講演会など新手のデジタルマーケティングを提案する。
動画コンテンツは、Vチューバー事業を展開するエニーカラーと共同で制作した。エニーカラーが運営するVチューバーグループ「にじさんじ」に所属するVチューバーが医師に相談する内容。慢性的な睡眠不足の勤務医の健康改善編、研修医向けノウハウ編の2作品で、国内の医師の半分近い15万人が登録する医師専用ウェブサイトで28日から放映を開始した。1カ月間実証し、視聴した医師数、医師の年齢や診療科といった属性を調べ、アンケートでVチューバーに対する医師の反応を調べる。
実証のデータを基に、製薬会社のほか医療機器会社、ヘルスケア関連企業などにVチューバーを起用したマーケティング手法を提案する。
国内製薬業界ではMR(医薬情報担当者)が医師と対面して営業する手法がとられてきたが、規制強化や新型コロナウイルス禍により、オンライン面談やウェブセミナー(ウェビナー)などデジタル化が進んでいる。しかし、ウェビナーでは医師の集客や離脱率が課題になっており、新たなマーケティング手法が求められている。一部の製薬会社でオリジナルのアニメキャラクターがMRとなって製品を紹介する動画が制作されており、今後、Vチューバーの活用が注目されそうだ。