伊の極左テロ組織元メンバーら移送、フランス最高裁認めず 政治判断覆す

フランスのマクロン大統領(ロイター=共同)
フランスのマクロン大統領(ロイター=共同)

フランスの最高裁に当たる破棄院は28日、1970~80年代にイタリアで殺害・誘拐などのテロを繰り返した極左組織「赤い旅団」を巡り、フランスへ逃亡した元メンバーら10人についてイタリアへの身柄移送を認めないと判断した。フランスのマクロン大統領がイタリアの要請に応じて引き渡すとした政治判断を覆した。

破棄院は、移送後のイタリアでの裁判で自己弁護できない可能性があるほか、フランスで築いた家族生活の権利が過度に侵害され得るとして移送を認めなかった控訴院の判断を支持。検察側の上訴を退けた。

フランスのメディアによると、元メンバーの弁護士の1人は「人道に関する基本権の保護が解決を導いた」と述べた。イタリアのノルディオ法相は「(テロの)犠牲者や近親者らに思いを致す」とコメントした。

赤い旅団は78年にイタリアで元首相を誘拐、殺害する事件を起こして世界的に名が知られた。85年にフランスのミッテラン大統領(当時)は「現役のテロリスト」以外は元メンバーらに自国での滞在を認める見解を示した。(共同)

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