静岡県熱海市で令和3年7月に発生した大規模土石流の発生原因について、県は29日、「届け出通りの15メートルで盛り土が造成されていれば崩落しなかった」とする追加の検証結果を公表した。盛り土の高さは実際には3倍以上の最大約50メートルに達していたとの見方がある。
県によると、起点の旧所有者が市に届け出た15メートルの高さで盛り土が造成されたと仮定し、そこに土石流が発生した7月3日までの3日間に降った雨と同程度の雨量を与えて解析。その結果、崩落のきっかけとなる土が急に泥状に軟らかくなる「吸水軟化現象」は起こらなかった。
被災者らは、盛り土の違法造成を黙認したなどとして、県と市に損害賠償を求め提訴している。検証結果は行政の監視不足を裏付ける可能性があるが、県の担当者は「コメントできない」とした。
県の検証委員会は昨年9月に最終報告書をまとめた。計画通りに造成されていた場合の想定には踏み込まず、被災者らから「物足りない」などの意見が出ていた。
大規模土石流では、盛り土を含む大量の土砂が崩落し、災害関連死1人を含む計28人が亡くなった。