4月1日から、自転車に乗る際に、ヘルメットの着用が全年齢で努力義務となる。自転車の死亡事故では頭の損傷が致命傷となることが多く、被害軽減に導入される。ただ、民間企業の調査では、今年1月時点で着用率は、1割ほどしかないという。警視庁などは市民の「模範」となるように交番勤務員など警察官の自転車乗車時にヘルメットを着用させる運用を開始したが、いかに浸透させるかが課題となっている。
現行では、ヘルメットは13歳未満の子供が自転車に乗る際、着用させるように保護者に努力義務がある。4月1日以降は、改正道交法が施行され、すべての年齢の人への着用が努力義務となる。
この背景には、自転車事故の現状がある。警視庁によると、平成30年~令和4年の5年間で、東京都内で自転車が関与する事故で死亡した人の約7割が、頭部の損傷が致命傷となっていた。自転車事故全体で、ヘルメットを着用していない場合の致死率は、着用している場合の約2・3倍高いことも判明。ヘルメットで頭部を保護することで、被害の軽減を図るという。
ただ、浸透への課題もある。au損害保険(東京)が今年1月に15~69歳の自転車利用者約1万7千人に行った調査では、ヘルメットを「いつも着用している」「ときどき着用している」と回答した人は計10・4%にとどまった。
ヘルメットを着用しない理由(複数回答)は「必要性を感じない」が最多で34・3%を占め、「着用している人が少ない」(27・8%)や「購入費用が負担」(21・5%)が続いた。
こうした現状に、警視庁は施行前の今月22日からパトロールなど警察官の自転車利用時にヘルメットを着用する運用を開始。警察官の事故減とともに、市民らに「模範」を示すことも狙っているという。
全国の警察でも施行にあわせて、街頭キャンペーンなども強化。警察庁の遠藤健二交通安全企画官は「わが身と、子供など同乗者の命を守るためにも、ヘルメットはぜひ着用してほしい」と話している。
どうかぶる?
改正道交法で全年齢に努力義務化される自転車利用時のヘルメット着用について、注意点などをQ&A方式でまとめた。
Q 非着用で罰則はあるのか
A 罰則はない。
Q どのようなヘルメットを着用すればいいのか
A 自転車専用のものを使うのがよい。転倒した際に側頭部を打つことが多く、専用のものは横の衝撃に強いように設計されている。バイクのフルフェイスのヘルメットほど強く保護する必要はなく、通気性に優れたものも多い。落下物など上からの衝撃に対応できるように設計されている工事現場用など他用途のものは推奨できない。
Q 選び方の基準はあるのか
A 製品安全協会の「SGマーク」や、欧州の安全基準を満たした「CEマーク」が付いた製品を選ぶのがよく、サイズはぴったりのものを選ぶ。国内メーカーの中には、日本人の頭の形に合わせて設計されたものもある。
Q どのようにかぶるのか
A 浅くかぶらず眉毛のすぐ上までヘルメットが来るように、まっすぐかぶるのがよい。(橘川玲奈)