昨日の小紙には、自衛隊に関わる3つの記事が掲載されていた。1つは防衛大学校の卒業式である。本科の卒業生446人のうち、今年も任官辞退者が46人も出た。2つ目は自衛隊が東京と大阪で運営していた新型コロナウイルスワクチンの大規模接種会場の閉鎖である。果たして自衛隊の任務だったのか。お疲れさまの一言に尽きる。
▼もっとも深刻なのが3つ目の記事だった。防衛省が今春採用する任期制の「自衛官候補生」が、採用計画数を大幅に下回るというのだ。自衛官候補生とは、一般企業における「契約社員」のような立場である。若い人材が確保できなければ、精強な部隊の維持は難しい。
▼そもそも自衛隊は発足以来、人手不足に苦しんできた。少子高齢化による人口減少が社会保障や経済に与える影響については、多くの識者が論じてきた。実は最大のダメージを受けるのは自衛隊だと、早くから警鐘を鳴らしてきたのが、政治学者のロバート・D・エルドリッヂ氏である。