東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で、収賄罪に問われたコンサルティング会社「アミューズ」(解散)元代表、松井譲二被告(75)の初公判が28日、東京地裁(安永健次裁判長)で開かれ、松井被告は起訴内容を認めた。一連の事件で収賄側の公判が開かれるのは初めて。
アミューズは、大会組織委員会元理事の高橋治之被告(78)=受託収賄罪で4回起訴=に対する広告会社「ADKホールディングス」(旧アサツーディ・ケイ)と玩具会社「サン・アロー」からの賄賂の振込先となった。
検察側は冒頭陳述で、高橋、松井両被告と組織委の副会長だった日本オリンピック委員会(JOC)前会長、竹田恒和氏(75)との間で、五輪関連事業の振込先としてアミューズの口座を使うことで合意したと指摘。ADKとサン・アローから平成30年10~令和3年4月、計約2740万円が入金されたとした。
現金は高橋、松井両被告と竹田氏で分配すると決めており、松井被告は高橋被告のコンサル会社「コモンズ」の事務所で高橋被告と竹田氏にそれぞれ約563万円ずつを渡そうとしたが、高橋被告のみが受け取り、竹田氏は受領を拒否。
その後、高橋被告が竹田氏に取り分を渡そうとしたが、竹田氏は再び拒否したという。
事件では5ルートで計15人が起訴され、贈賄側は紳士服大手「AOKIホールディングス」とADKの2ルートで審理が始まっている。高橋被告の初公判の日程は決まっていない。