参院本会議で28日に可決・成立した令和5年度予算では、3年間続いた新型コロナウイルス対応を優先した経済下支えの予算から、岸田文雄首相の看板政策「新しい資本主義」の実現を加速させるなど、経済成長へと軸足を移す。強い経済を取り戻すため、求められるのは社会構造の大胆な転換だ。ただ、世界経済の先行きが不透明となる中、景気が減速に向かえば再び大規模な補正予算を求める声が高まり、国の財政頼みの〝ぬるま湯経済〟が続く可能性もある。
「わが国の未来を切り開くための予算だ」。5年度予算の位置づけを岸田首相はそう語る。
特に力を入れるのが賃上げの実現だ。物価上昇が続く中、政府は大規模な補正予算を組み、電気代などの価格抑制策を講じているが、こうした対策はいつまでも続けられない。物価上昇に負けない賃上げの実現は、経済の持続的な成長にとっても不可欠だ。