市場連動型と再エネ促進 「新電力」安定化めざす

Looopの森田卓巳取締役
Looopの森田卓巳取締役

燃料価格高騰などによる電気料金の値上げラッシュの中、平成28年の電力全面自由化で市場に新規参入した「新電力」が岐路に立たされている。事業者の多くが、新規申し込み停止や業務停止に追い込まれたのだ。契約数約26万件の新電力事業者「Looop」(東京都台東区)取締役で4月1日付で社長に就任する森田卓巳氏に、電気料金の在り方や電力安定化への取り組みについて聞いた。

――燃料価格高騰の影響は

「誰もが想定していなかったことが起き、昨年4月から新規申し込みを停止するなど対応に迫られた。昨年末に、電力卸売市場価格を料金に反映する『市場連動型』の新プランを導入。今月22日から新規申し込みも再開した」

――電気料金の主流は固定型プラン。「市場連動型」は受け入れられるか

「長期的にみれば、変動リスクを見込んだ固定料金より割安になるとみている。市場価格が安い時間帯に電気を使う『ピークシフト』を促し、価格変動をメリットにしていきたい。市場はまだ小さいが、参入企業が増えれば、消費者の選択肢を増やすことにもつながる」

――新プラン「スマートタイムONE」の特徴は

「基本料金ゼロ円は変わらずに、市場に連動した単価にサービス料などの固定単価を加えた従量料金としている点だ。事業継続に必要な利益が確保でき、顧客にとっても透明性が高い。安価で提供することは大切だが、サービスの持続可能性も大事だ。業界全体の信頼低下を招くことは避けないといけない」

――新電力は今後、どのように存在価値を示していくか

「電力市場の安定性を支えるため、できることは多い。再生可能エネルギーの主力電源化は変えられないトレンドで、そのためには発電量に波があるエネルギーを有効活用する調整力が不可欠だ。太陽光発電の促進や蓄電池の開発と同時に、IT技術で家庭のピークシフトを支援していきたい」

提供:Looop

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