千葉・熊谷知事、台湾有事「物流、難民…県にも影響」

インタビューに応じる熊谷知事=県庁(前島沙紀撮影)
インタビューに応じる熊谷知事=県庁(前島沙紀撮影)

千葉県の熊谷俊人知事(45)は4月5日、就任から丸2年となり、4年間の任期を折り返す。コロナ後の社会で日常が戻りつつある中、経済活性化や多様性尊重条例の制定、有事への備えといった県政運営の展望などについて聞いた。

--この2年間をどう振り返る

「コロナ対策に相当なエネルギーを取られたが、職員の皆さんが優秀で、順調に県政改革が進んでいる。職員がトライしてうまくいったことが、千葉県の特徴的な政策として続いていくことが大事だ」

--任期後半で特に力を入れたいことは

「経済や農業などの産業面は時間がかかるので、しっかりと今の流れを続けたい。企業誘致や成田空港、農水産業や観光などの取り組みが芽を出すように3、4年目で道筋をつける。海外でも、各分野で千葉県をプッシュしていく」

--経済活性化の鍵は

「圏央道の全線開通や成田空港の機能強化をいかに周辺地域に波及させるか。産業用地を整備し、核となる企業や学術、研究機関を誘致することが大事だ」

--新たな産業構想の見通しは

「大事なことは、積み上げた具体の政策から構想に結びつけることだ。現時点で明確なスケジュール感はないが、成田や北千葉道路などの問題がある程度、具体の案件とセットで動き出したら、今後20~30年の戦略として打ち出す流れは十分にありうる」

--コロナ対策の検証は

「これだけの対応をしてきたので、ステージごとにどういう考え方で、どのようなことをやったのかを、まとめておく必要がある。今の状況が変わらないなら、任期中にある程度の形として表に出せるのでは」

--懸念される台湾有事への備えは

「台湾有事で物流や移動に影響が出るのは間違いない。難民の観点も出てくる。災害への備えや国民保護計画の辺りをしっかりと訓練し、非常時にすぐに政府と連動して対応できる意識を持っておきたい。想定されることは、頭の体操として持っておくべきだ」

--多様性尊重に向けた新条例の検討を表明した

「先駆的であっても先鋭的であってはならない。議会とのしっかりとした意思疎通が前提だ。その上で私たちの社会が求められている多様性が尊重され、社会に活力が生まれる千葉県を作っていく。(スケジュール感は)『絶対にここまで』というわけではない」

--県議会最大会派である自民党との関係は

「それぞれの立場はあるが、信頼関係の蓄積に伴い、県政のより深い分野での率直な意見交換も増えていくのでは。幹事長ともいろいろと意見交換をさせていただいている。政調会も含め、できる限り信頼関係を構築したいし、同じ方向を向きたい。非常に大事なポイントだと思う」

(小野晋史)

会員限定記事会員サービス詳細