ブリュッセルの欧州連合(EU)本部に掲げられた旗=2020年8月(ロイター)
ブリュッセルの欧州連合(EU)本部に掲げられた旗=2020年8月(ロイター)

【パリ=三井美奈】欧州連合(EU)は28日、エネルギー関係の閣僚理事会を開き、2035年以降の内燃エンジン車の新車販売を禁止する方針の見直しを協議した。温暖化ガス排出が「実質ゼロ」となる合成燃料を使う場合、例外としてエンジン車販売を認めることで正式合意した。EUの電気自動車(EV)化戦略の転換となる。

方針見直しは、EU最大の自動車産業を抱えるドイツが要求。欧州委員会との間で25日、合意に達した。

例外規定の対象となる合成燃料は「e燃料」と呼ばれる。EVと異なり、二酸化炭素(CO2)を排出するが、工場や発電所から出たCO2を原料とするため、排出量を相殺できる。EVのように充電施設を新設する必要がなく、既存のエンジンやガソリンスタンドを使えるため、自動車会社は製造コストの軽減が可能になる。

ドイツではEV化が約40万人の雇用喪失につながるとの推計があり、産業界でEU方針見直しを求める声が強かった。イタリアやポルトガルも後押しした。環境団体は「欧州のEV移行を遅らせるだけ」と見直しに反対を表明している。


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