満開の桜の木に制服姿で並ぶ40名の男たちの写真。この写真は、昭和56年4月に同期の仲間と警察学校の門の前で撮影したものだ。
この後、つらく厳しい学校生活を乗り越え、「刑事になりたい。人の役に立ちたい」等とそれぞれの思いを胸に秘め、それぞれの町へと旅立っていった。そんな彼らが42年もの月日を経て、今日を迎えようとしている。そう、もう間もなく定年退職を迎えるのだ。
ただ、全員が同じ道をたどってきたわけではない。人を相手にすることが多く、理想と現実のギャップに思い悩んで挫折したり、道を踏み外したり、中には病に負け志半ばにしてこの世を去った者までいる。
特に、満面の笑顔で将来を見据えている君、君のその後の42年間はどんなものだったのかな。良いことばかりじゃなかったよね。失敗も多くしたし、迷いや不安、人間関係での悩み等いろいろあったよね。それでも最後までやり通した気分はどうだい。
4年ほど前に、「わが相撲道に一片の悔いなし」と言って引退した横綱がいたけど、きっぱり言い切れる人には拍手喝采を送りたいね。でも、多分多くの者が、胸を張ってそう言えるものではなく幾つもの悔いを残してきたと思うよ。
そしてそれらを乗り越えて今日を迎えた皆は立派だと思う。自分なりに頑張ってきたんだから、今日は自分で自分を褒めてあげよう。
そしてもうしばらくしたら、あの桜の木の下に集まり、「頑張ったね。ご苦労様でした」と肩をたたき褒めたたえあおう。
中山末夫(64) 三重県名張市