フランスでは、年金改革に抗議するデモが続く。政府が国会で法案を強行採決させて以来、ずいぶん荒れるようになった。
23日には、パリのオペラ座前で衝突があった。ここはデパートやブランド店が多く、普段は観光客でにぎわっているのだが、行ってみるとドカーン、ドカーンと催涙弾の爆音が響き、白煙でいっぱい。防護服の警察官が棍棒(こんぼう)と盾を持って、駆け抜けていく。
「内戦が起きたか」と驚くような殺気だが、デモの都パリに長く住んでいると、こんな風景に慣れてしまう。みんな同じらしく、近くのカフェではデモ行進を終えた労働組合のメンバーがビールで祝杯をあげていたし、老舗ホテル「リッツ」前にはいつものように高級車が乗り付けていた。露店が燃え上がり、路上にガラス片が飛び散っていてもお構いなし。230年前、王様をギロチンにかけた革命の継承者たちは、さすがにタフである。
デモの日は地下鉄の運行がうんと減り、凱旋(がいせん)門やルーブル美術館に近い中心部の駅が封鎖される。携帯アプリで「今、動いている路線」を探しながら、放浪する人が街にあふれる。歩道には、回収されないゴミの山。すえた臭いの中、特大のネズミが走る。
パリ夏季五輪まで、500日足らず。おおむね平和な日が続く。(三井美奈)
フランス、年金改革デモやまず 強行採決に抗議で100万人「民主主義踏みにじった」
フランス、年金改革法案を強行採択 抗議デモが各地で暴走、200人以上拘束