一般会計総額が114兆3812億円の令和5年度予算案は28日の参院本会議で、与党などの賛成多数で可決、成立した。当初予算として110兆円を超えるのは初めて。厳しさを増す安全保障環境に対応するための防衛力抜本強化などに充てる。立憲民主党、日本維新の会、国民民主党などは反対した。
本会議に先立つ参院予算委員会の締めくくり質疑で、首相は防衛力強化に関し「専守防衛を堅持していく方針に変わりはない。反撃能力(敵基地攻撃能力)はミサイル攻撃から国民の命を守るためのものだ」と強調。反撃能力にも活用する射程1600キロの米国製巡航ミサイル「トマホーク」の購入などに理解を求めた。
防衛費は米軍再編経費などを含め過去最大となる6兆8219億円を計上。ロシアによるウクライナ侵略など急変する安全保障環境を受けて防衛力の抜本的強化を掲げる政府は、防衛費を5年間で総額43兆円程度とする方針を示しており、今後も段階的な増額が見込まれる。
医療や介護などの社会保障費も過去最大で、36兆8889億円を盛り込んだ。国会審議を経ず政府の裁量で活用できる予備費には計5兆5千億円を計上。新型コロナウイルスや物価高のほか、ウクライナ危機などへの対応に充てる。
一般会計総額は11年連続で過去最大を更新し、財政拡張路線を維持。巨額の歳出を税収で賄えず、借金頼みの財政が続く。