政府が週内に取りまとめる少子化対策のたたき台の原案が27日、判明した。全ての子育て家庭への支援を強化するため、就労要件を問わず時間単位で保育所などを利用できるようにする制度を創設。在学中の授業料支払いを免除し、卒業後に支払う「授業料後払い制度」も盛り込んだ。焦点の児童手当は、多子世帯への加算などを明記した。
少子化から反転へ「ラストチャンス」
原案は、2030年代に入るまでが少子化傾向を反転できるかどうかの「ラストチャンス」として、今後3年間を集中取組期間に位置付けた。
創設を検討する「こども誰でも通園制度(仮称)」は、両親の就労などを問わず保育所などを利用できるようにする。未就園の子供を持つ家庭が保育所などを利用できず、孤立するケースを防ぐ狙いがある。
保育の質を改善するため、保育士の配置基準について、現行の「1歳児6人に対して保育士1人」を5対1に、4~5歳児は30対1から25対1人に改めると明記した。
出産や育児を躊躇(ちゅうちょ)する一因になっている教育費の負担軽減も図る。授業料後払い制度は在学中の授業料などを国が立て替え、利用者が卒業後に年収などに応じて支払う仕組み。令和6年度に大学院の修士課程の学生向けに導入し、拡充を検討する。また、奨学金返済が負担にならないよう、貸与型奨学金は出産や多子世帯に配慮した対応を行う。
多子世帯の児童手当を拡充
一方、児童手当は「全ての子供の育ちを支える基礎的な経済支援」として、所得制限の撤廃と支給対象年齢の高校卒業までの引き上げを明記。多子世帯への手当額を海外の事例を参考に見直す。具体的な対象や金額などは6月にまとめる経済財政運営の指針「骨太の方針」までに結論を出すとした。
このほか、子育て世帯の住宅支援を強化するため、住宅取得時の金利負担軽減や、公営住宅などへの優先入居も盛り込んだ。