織田信長のパワハラ告発 戦国時代に週刊誌があったら…

明智光秀が告発した、織田信長によるパワハラの実態を示すページ(淡交社提供)
明智光秀が告発した、織田信長によるパワハラの実態を示すページ(淡交社提供)

織田信長や徳川家康といったカリスマ的な戦国武将が群雄割拠し、暗殺や裏切りと隣り合わせだった乱世に週刊誌が存在していたら-。そんな発想を基に出版された書籍「週刊戦国ゴシップ」(淡交社)が注目を集める。天下統一へ武将がしのぎを削り合い、歴史の転換点がいくつも生まれた戦国時代。歴史的ターニングポイントや武将たちの逸話を週刊誌のスクープや対談形式にまとめたユーモアあふれる作品となっている。

《織田信長の壮絶パワハラの実態》《腹心部下によるまさかの裏切り行為に信長唖然(あぜん)》

「文春砲」と呼ばれる週刊文春のスクープさながらの見出しで目を引くのは、天正10(1582)年に明智光秀の謀反により発生した「本能寺の変」の内実だ。光秀は信長の腹心だった一方で、髪が薄い頭を揶揄(やゆ)するように「金柑(きんかん)頭」と信長から罵(ののし)られたという逸話を本人が告発。積み重なるパワハラが怨恨(えんこん)を増幅させ、「敵は本能寺にあり」という宣言とともに主君を襲撃したと結んだ。

豊臣秀吉の天下統一にも貢献した軍師、黒田官兵衛が監修したとする「謀反されやすい武将チェックリスト」も掲載。「うつけ者といわれやすい」「下克上でのし上がってきた」などの10項目の選択肢が並び、選択数で謀反されやすいか診断することもできる。

週刊戦国ゴシップ
週刊戦国ゴシップ

執筆したのは東京都内で会社勤めの傍ら作家として活動するスエヒロさん。ネット上で「もしも武将がスマホを持っていたら」などと題して作品を投稿し、NHKにも「光秀のスマホ」「信長のスマホ」などとして放送されると、シリーズ化されて人気番組となった。

「誰もが知っている戦国時代で何か作れないか」と考える中で、週刊誌ならパロディーにしやすそうと考え付いたのがきっかけだ。

週刊誌の文字のフォントや誌面のレイアウトを研究した一方で、史実については「共感を呼ぶことをテーマにしたため、あえて学校の教科書を参考にした」と、誰でも知っている出来事を選んだ。

「いつの世にもゴシップ」

書籍では、スクープ以外にも著名人の成功秘話として秀吉の逸話をインタビュー形式で紹介。冬に信長の草履を懐にいれて温めたことで出世したという逸話とともに、「鳴かないホトトギスがいたら鳴かせるためにあの手この手を尽くすことが必要」と天下統一の要因を紹介した。

今後、スエヒロさんは幕末や中世の欧州を舞台にした作品も構想しており、「いつの時代にもゴシップは存在する。気楽に楽しんで歴史を好きになるきっかけにしてほしい」と話している。

書籍は四六判で全160ページ。税込み1100円で全国の書店で販売している。(鈴木文也)

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