岸田文雄首相(自民党総裁)が3月初旬、4月の統一地方選と衆参5つの補欠選挙に向けた応援の皮切りに山口県を訪れた。昨年7月に亡くなった安倍晋三元首相の地元で、当初は安倍家の墓参も計画したが最終的に見送った。次の衆院選は「10増10減」に伴い県内選挙区が1減するだけに、安倍氏を支持した「安倍派」と林芳正外相を担ぐ「林派」がにらみ合う地元事情が影響したという。
今月5日、山口入りした首相がまず向かったのは、安倍氏の後継として衆院山口4区補選に出馬する自民の新人候補が下関市に構える後援会事務所だった。安倍氏が長年、地元事務所として使用した建物をそのまま引き継いだ場所だ。
関係者によると、首相は安倍氏の遺影に黙禱(もくとう)をささげ、集まった約50人の関係者に「安倍氏の遺志を継いで頑張ろう」と呼び掛けた。