災害時に給電車貸し出しで協定 警視庁とトヨタモビリティ東京

後方の給電車より発電し掘削機を使う警視庁特殊救助隊の隊員=27日、東京都港区(松井英幸撮影)
後方の給電車より発電し掘削機を使う警視庁特殊救助隊の隊員=27日、東京都港区(松井英幸撮影)

首都直下地震などの大規模災害を見据え、警視庁とトヨタ自動車直営の販売会社「トヨタモビリティ東京」は27日、災害時の協力協定を締結した。災害時にハイブリッド車や電気自動車(EV)などの給電機能付き試乗車を無償で貸し出してもらい、信号機の維持や救助資機材の電源などに使うほか、店舗周辺の被災状況などを情報提供してもらい、救助活動や災害対応につなげる。

東京都が昨年公表した首都直下地震の被害想定によると、震度6弱以上の地域では、電柱の転倒や配電線の切断などで大規模な停電が発生、ブラックアウトが起こる可能性もあり、復旧は長期化するとしている。

協定では、こうした災害時、都内200超の同社店舗が所有する最大約750台の給電機能付き試乗車を管内の警察署に貸し出す。プラグインハイブリッド車(PHV)1台で一般家庭の4日分の電力が供給でき、信号機1台を数日稼働することができる。

警察署が要請して近隣の店舗から給電車を借り、救助資機材の充電や災害対応指揮所などの電力を確保する。幹線道路に面している店舗も多く、渋滞状況など従業員が見聞きした被災状況などを警視庁に情報提供する。地震や水害、広範囲に影響する大規模な交通事故なども想定している。

この日は東京都港区の同社本社で協定締結式が行われ、佐藤康彦社長は「車の電動化が進んでおり、いざというときに『走る小さな発電所』という役割として新しい責任が増えた」と話した。警視庁の池田克史副総監は「停電時に電力をいただくという力強いパートナーを得た」と感謝を述べた。

式後には実演も行われ、2月に発生したトルコ・シリア大地震の被災地に捜索救助活動のため派遣された特殊救助隊員が、現地で使用した掘削機を給電車につないでコンクリートを砕くなどした。

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