《テリーさんは芸能界屈指のクルマ好きとして知られる。スポーツカーからワンボックス、オフロード車、ロンドンタクシーに至るまで、これまで乗り継いできた愛車は70台前後。令和元年5月に動画投稿サイトのユーチューブに、自身の公式チャンネル「テリー伊藤のお笑いバックドロップ」を開設し、クルマの魅力を発信している》
なんか面白そうだからやってみたいなと思ったんです。それと、なんか好きなことをやりたかったんですよ。僕はクルマが好きだから、クルマでユーチューブをやりたいなって思って、それで始めただけなんです。
僕、お酒が飲めないんですね。あんまり夜遊びもしないんで、仕事が終わった後にどこに行くかっていうと、洋服も好きなんで、洋服屋さんのおやじと話をするのが好きで。その帰り道に中古車センターに寄ったりするんです。といっても、もう閉店してる時間だから、外から見るだけですけど。
浅草キッドの玉袋筋太郎がスナックを飲み歩くのをやってるじゃないですか。余計なことをしない。それを見てて、俺も政治のことを偉そうに語る気はないし、できないから、とりあえずメッセージ性がないものがいいと思ったんです。クルマを見に行くって、全然メッセージ性ないじゃないですか(笑)。
世田谷(東京)と七里ガ浜(神奈川県鎌倉市)の家の車庫の問題があるから常に乗っているのは6台くらいかな。僕ね、クルマはそんなに詳しくないんですよ。「このクルマ、女の子にモテるかな」とか、「これなら目立つかな」とか、「このクルマ、誰も乗ってないよな」とか、そういうところのジャッジなんですよね。そんなレベル(笑)。
《テリーさんがプロデュースした日本車もある。三菱「デリカD‥5 eyeキュート」だ。丸型のヘッドライトが特徴で、どこかレトロでかわいらしいデザイン。改造車の祭典「東京オートサロン2020」で披露され話題になった》
デリカは前に3台くらい乗ってたんですけど、現行モデルはフロントグリルが電気カミソリみたいで、これ、なんかかっこ悪いなあって思って。
三菱自動車に益子修さんという社長がいたんです。2年半前に亡くなられたんですけど、僕と同い年で、本当に数少ない親友だったんです。で、益子さんに言ったんです。「これもいいんだけど、今の時代、丸型がはやっているから、丸型のデリカつくらせてくださいよ」って。そしたら益子さん、「いいよ!」ってOK出してくれたんですよ。それでつくったんです。
デリカって武骨でしたよね。月面車みたいでかっこよかったんですよ。試作車が出たときに、雑誌で「テリー賞あげる」って言ったら、三菱の益子さんが喜んでくれて、それから親しくなって15年くらいですかね。食事したり、うちにも遊びに来てくれたりしてたんで、亡くなってものすごく残念ですね。
《「テリー伊藤のお笑いバックドロップ」は登録者数14万人を超える人気チャンネルに成長。「30万円車探しの旅」や幻の名車を紹介する企画など、再生回数が100万回を超える動画もある。「イクラちゃん」の愛称で親しまれている歌手の井倉光一さんとの掛け合いも魅力だ》
フェラーリとか高級車を持っているからモテるとか、もうそんな時代じゃないですけど、クルマって楽しいじゃないですか。ロンドンタクシーは半年くらいしか乗ってなかったなあ(笑)。この前、鎌倉の車屋さんに「なんかいいクルマない?」って言ったら、「テリーさん、この期に及んでまだ買おうとしてるの? そろそろ免許自主返納じゃない?」って言うから、「冗談じゃない。免許返納なんて日本だけだよ!」って言ったんですよ(笑)。(聞き手 大竹直樹)