東京都心部から南西に約70キロ、人口約1万7千人の神奈川県大井町で昨年12月6日、非常事態が発生した。町議会(定数14)の欠員1人を埋める補欠選挙に、立候補者が誰一人として現れなかったのだ。町選挙管理委員会が確認できる平成元年以降の町議選で初めてのケースだった。
同町の幹部職員は達観したような表情で振り返る。「正直、驚いていない」。補欠選挙は結局、実施には至らず、大井町議会は現在も欠員1のままだ。
地方議員のなり手不足は深刻だ。総務省によると、31年の統一地方選で北海道、長野、愛知、熊本各県内の計8町村で立候補者数が議会の定数に満たなかった。無投票当選の割合も都道府県議選が26・9%、町村議選が23・3%とそれぞれ過去最高に達した。