自動車や家電、日用品への材料供給を通じ人々の暮らしを支える化学業界。近年は鉄鋼業界などに比べて安定した業績をあげ、製造業の優等生とも呼ばれてきたが、ここにきてにわかに逆風が強まっている。旭化成が今年度、20年ぶりに最終赤字となる見通しになるなど大手の業績が軒並み悪化。中長期的な難題にも直面している。経団連の十倉雅和会長(住友化学会長)など、多くの財界首脳を輩出してきた業界に何が起きているのか。
「(買収時に)想定した見立てとは随分違った…」
3月8日に開かれた旭化成の記者会見。工藤幸四郎社長は神妙な面持ちで業績予想の下方修正をわびた。