大広間に敷かれた長い絨毯の上を、プーチン大統領と習近平国家主席が双方の端から歩み寄る。中央で握手を交わすとプーチン氏は反転、今度は肩を並べて歩んだ。先週モスクワで中露首脳会談が行われた。王が他国の王を迎えるかのような大仰な演出は、プーチン氏の好みなのだろう
▶両国はともに労働者ファーストの、公平な社会をめざす革命を経験した。それがいまや、絶対的な王をいただく国家に戻ろうとしているようだ。17~18世紀に共存した偉大な王、ロシアのピョートル大帝と清の康熙帝の亡霊が見える
▶二人が並んだとき、プーチン氏が絨毯の中央を占め、あおりで習氏は縁を歩く格好になった。おやっと思わせる配慮の欠如であった。自らの立ち位置も客観視できない独裁者になったのだろうか。亡霊はピョートル大帝ではなかった。最後の皇帝ニコライ2世の末路を見よ。「王様は裸だ」と叫ぶ子供たちを圧殺してきた報いは、ないはずがない。