ウクライナ侵略を続けるロシアのプーチン大統領は25日に放映された露国営テレビのインタビューで、ロシアが同盟国ベラルーシに戦術核兵器を配備するほか、7月1日までに核兵器の貯蔵施設を建設すると表明した。プーチン氏は、米国も北大西洋条約機構(NATO)諸国に核兵器を配備してきたとし、「ロシアは同じことをする」と指摘。「核兵器の不拡散を定めた国際的義務の違反には当たらない」と主張した。
ロシアはNATO圏に接するベラルーシに核兵器を配備し、米欧諸国にウクライナへの軍事支援を躊躇(ちゅうちょ)させる思惑だとみられる。ロシアは従来、国外への核配備に慎重姿勢を示してきた経緯があり、実際にベラルーシに核兵器を配備すれば大きな方針転換となる。ウクライナ侵略を巡って高まったロシアと米欧の緊張がさらに先鋭化するのは確実だ。
プーチン氏はインタビューで、ベラルーシに核運用可能な露弾道ミサイルシステム「イスカンデルM」を既に供与したと表明。ベラルーシ軍用機10機を核兵器を運用できるように改修したとも明らかにした。
イスカンデルMの供与とベラルーシ軍用機の改修を巡っては、ベラルーシのルカシェンコ大統領の要請に応じるとの形でプーチン氏が昨年6月に約束。ルカシェンコ氏は12月、供与されたイスカンデルMが実戦配備され、軍用機の改修も完了したと発表していた。
プーチン氏はまた、英国がウクライナへの供与を発表した戦車用の劣化ウラン弾について、「大量破壊兵器ではないが、放射性物質をまき散らし危険だ」と指摘。「ロシアは同様の砲弾を持っているが、まだ使用していない」とも述べ、ウクライナが劣化ウラン弾を使用すればロシアも使用する可能性を示唆した。