文化庁移転、関西経済界も期待「万博の追い風に」 早急に連携を

文化庁の内覧会で公開された特別会議室。東京とつなぎながら会議などが行われる=26日、京都市上京区(渡辺恭晃撮影)
文化庁の内覧会で公開された特別会議室。東京とつなぎながら会議などが行われる=26日、京都市上京区(渡辺恭晃撮影)

関西経済連合会をはじめとする経済界も文化庁の京都移転を歓迎する。移転に伴い文化関連の交流人口が拡大すれば、関係する産業の振興が進むといった経済波及効果が期待できるからだ。また、関西文化の魅力が世界に発信される機会が増えることで、約2年後に開幕が迫る大阪・関西万博への誘客を促し、経済の追い風となる可能性がある。

関経連は「文化と経済の好循環」実現を掲げ、文化庁移転の機運を高める活動を行ってきた。平成28年に関西の自治体とともに文化庁との間で調印した共同宣言では、文化や文化財をインバウンド誘客のための中核コンテンツと位置付け、映像やアニメ、食文化などを活用した産業振興を進めるとした。イベントなども行っており、昨年12月には「文化と経済」がテーマのシンポジウムを開いた。

文化庁移転は万博へのプラス効果も期待される。万博に向けた政府の「アクションプラン」は、展覧会や公演で日本文化をPRする「日本博」など、さまざまな取り組みを文化庁中心に進めるとした。移転した文化庁と関西経済界のコミュニケーションが緊密になれば、関西の文化を活用した施策などが国内外へより多く発信され、万博への来場者を増やす可能性がある。

ただ現段階では、移転を機に文化庁と関経連が具体的な協議や組織づくりを始めるなどの動きはない。万博に間に合わせ移転の効果を最大限発揮するには、一丸となった取り組みを急ぐ必要がある。(井上浩平)

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