フィギュアスケートの世界選手権最終日は25日、さいたま市のさいたまスーパーアリーナで行われ、男子はショートプログラム(SP)首位の宇野昌磨(トヨタ自動車)がフリー1位の196・51点で合計301・14点をマークし、同種目で日本初の2連覇を果たした。
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王者は強かった。宇野は男子フリーで4回転ジャンプを計5本着氷し、SPに続いて1位となる196・51点をマーク。日本男子で初めて世界選手権2連覇を成し遂げた。「これ以上できない演技だった。成績を残せたこともうれしい」と笑顔を見せた。
「G線上のアリア」の調べに乗って、冒頭に4回転ループを決めた。続く4回転サルコーは着氷をこらえた。4回転フリップは出来栄え点で4・24点もの加点を引き出す鮮やかなジャンプだった。後半も2本の4回転トーループを降りた。スピン、ステップは洗練されていた。演技を終えると、リンクに大の字で寝そべり、「ほっとした」と安堵(あんど)した。
逆境をはねのけた。SP前日の22日、公式練習中に右足首を痛めた。先週も同じ負傷をしたという。それでも「状態が悪いからといって、何か救済があるわけではない」と冷静だった。長年の経験を力に金メダルをつかんだ教え子に、ランビエル・コーチは「厳しい挑戦だったが、これだけのことを達成してくれてうれしく思う」とうなった。
北京冬季五輪翌シーズンの今季も、「もっと成長したい」との向上心を抱いたまま駆け抜けた。4種類計5本の4回転ジャンプを組み込む高難度のフリーも板についてきた。「ジャンプはうまくなったが、スケーターとしてどうかと聞かれると、『うん』とは思えない。自分が演技を見返したときに、いいなと思う演技をしたい」。25歳のベテランは、さらなる高みを見据えた。(久保まりな)