大阪市長選告示 主要2候補は第一声で何を訴えたか

大阪ダブル選の第2幕となる大阪市長選が26日告示され、14日間の論戦が始まった。地域政党「大阪維新の会」と非維新勢力の基軸となる政治団体「アップデートおおさか」がそれぞれ擁立した新人同士による事実上の一騎打ち。過去3回の選挙戦と異なり、大阪都構想が争点にならない中、両候補はこの日、何に重点を置いて訴えたのか。第一声を分析した。

有権者らに支持を呼びかける横山英幸氏=26日午前、大阪市中央区(恵守乾撮影)
有権者らに支持を呼びかける横山英幸氏=26日午前、大阪市中央区(恵守乾撮影)
街頭演説で政策を訴える北野妙子氏=26日午前、大阪市北区(甘利慈撮影)
街頭演説で政策を訴える北野妙子氏=26日午前、大阪市北区(甘利慈撮影)

行政運営

維新幹事長で元大阪府議の横山英幸氏(41)は大阪市中央区の南海難波駅前で第一声を上げた。

約12分にわたる演説のうち、最長の3割に上る3分半程度を府市一体の行政運営に費やした。市債残高の削減など財政改革を強調し「豊かな行政サービスを将来も安定的に運営するため、今後も財政改革を行う」と力説した。

一方、無所属新人で元市議の北野妙子氏(63)は大阪市北区の商業施設前で第一声。演説全体(約17分20秒)のうち約3分50秒(22%)をかけて府市の新型コロナウイルス対応を批判した。クラスター(感染者集団)が発生した高齢者施設の関係者の声を紹介し「命を守れない自治体は自治体ではない。政治は命と暮らしを守るためにある」と指弾した。

経済成長

大阪の経済成長を促す戦略については、両候補の独自色が表れた。

横山氏は約2分半(21%)を割いた。府市一体の成長戦略として、JR大阪駅北側の再開発地区「うめきた2期」などの事業やインフラ整備を挙げ「大阪府市で一元化した組織で、大阪全体のグランドデザインを進めていく」と訴えた。

北野氏は約4分(23%)をかけ、維新の成長戦略について「大阪の域内総生産はよくなっておらず、インバウンド(訪日外国人)頼み」と批判。女性の社会進出を進めながら、雇用環境の改善に取り組むとした。

IR誘致

カジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致の是非は、知事選とともに市長選でも主要な争点となる見通しだ。この論点は、両候補の時間配分に差があらわれた。

横山氏が費やした時間は約50秒(7%)。「経済波及効果や自治体への納付金などの大きなプラスが想定される」と強調し、懸念されるギャンブル依存症の対策として、相談・治療体制の整備や入場規制を徹底するとした。

IR誘致反対を掲げる北野氏は、各テーマの中で最長の約5分50秒(33%)を費やした。市が候補地の人工島・夢洲(ゆめしま)の土壌対策に約790億円の公費をかけることなどを批判した上で、「カジノで稼いだお金を教育や福祉に使うことを私たちは望んでいない」と訴えた。

子育て・教育支援

ダブル選では、維新が子育て・教育支援を公約の柱に掲げている。

横山氏は約2分半(21%)にわたり「子供たちには教育に関して等しくチャンスをもってもらいたい」などと主張。市が第一子の0~2歳児を対象に行っている保育無償化について、所得制限の要件を撤廃するとアピールした。

北野氏は公約で、子供が多い世帯の市民税などを軽減させる制度の構築を掲げているが、この第一声では触れなかった。

市長選にはほかに、いずれも無所属新人で飲食店経営の荒巻靖彦氏(58)▽作家のネペンサ(本名・安達真)氏(48)▽理学療法士の山崎敏彦氏(44)-の3人が立候補している。

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