【北京=三塚聖平、台北=矢板明夫】台湾の呉釗燮(ご・しょうしょう)外交部長(外相に相当)は26日、台北で記者会見し、中米ホンジュラスが中国との国交樹立交渉を行っているため、ホンジュラスとの外交関係を「即日、終了する」と宣言した。呉氏の会見に先立ち、ホンジュラス外務省はツイッターに台湾との断交に関する声明文を投稿。中国外務省は26日、中国がホンジュラスと国交を樹立したと発表した。
これで台湾と外交関係がある国は13カ国となった。2016年5月に中国が「台湾独立」勢力とみなす民主進歩党の蔡英文政権が発足して以降、台湾と外交関係がある国は22カ国から9カ国減った。
台湾の蔡英文総統は26日に動画で声明を発表し、「中国と無意味な金銭外交の競争はしない」と述べた。蔡氏は、ホンジュラスとの断交は「非常に遺憾だ」とし、中国が過去数年、「台湾に圧力を加え、軍事的な侵入(の度合い)を高めて地域の平和と安定に衝撃を与えている」と批判した。
中国との国交樹立交渉が、蔡氏が29日から予定する中米のグアテマラ、ベリーズ両国への訪問と米国立ち寄りの時期と重なっていることについて、呉氏は「中国が意図的に行っている」との見方を示した。
台湾の外交関係者によると、中国がホンジュラスに巨額の経済支援を約束した可能性がある。
ホンジュラスは、大統領選で中国との国交樹立を掲げたカストロ氏が22年1月に就任。カストロ氏は今月14日、レイナ外相に中国との国交樹立交渉を指示していた。
中国外務省によると、中国の秦剛(しん・ごう)国務委員兼外相は26日、北京でレイナ氏と国交樹立に関する文書に署名した。その後の共同記者会見で、秦氏は「ホンジュラスの国家と国民の根本的、長期的な利益に完全に適合する」とホンジュラス側の決定をたたえた。中国外務省によると、レイナ氏は「ホンジュラスは、金融、貿易、インフラ、科学技術、文化、観光などの領域で中国側と協力を強化することを望む」と中国側に呼び掛けた。