防衛省が今春採用する任期制の「自衛官候補生」が採用計画数を大幅に下回り、現行制度となった平成21年度以降、達成率が最低の6割程度となる見込みであることが26日、分かった。複数の政府関係者が明らかにした。少子化に加え、ロシアのウクライナ侵攻で武力行使が現実感を増し、自衛隊が忌避される傾向もあるとみられる。政府の防衛力強化は人材確保が喫緊の課題となっている。
防衛省は今春採用となる令和4年度に募集する自衛官候補生を9245人と計画したが、実際の採用者数は5~6千人程度にとどまり、達成率は過去最低だった平成30年度の72%を大きく下回る見込みだ。一方、任期がない「一般曹候補生」は採用計画数6980人をおおむね達成できる見通し。
少子化で子供の数が減少傾向にあり、自衛隊への応募者数は過去10年間で約26%も減少した。今年度は各企業で新型コロナウイルス禍からの採用回復が進み、高校生の新卒求人倍率はバブル期と同水準となる3・01倍に上昇している。
官民含めた採用競争が激化する中、雇用形態が不安定な任期制自衛官は不利な状況にある。ウクライナ侵攻後、戦闘の様子が連日報道されたことも人材確保を難しくしているという。