相模原市長選告示 現新5人 雨の中、舌戦スタート

雨の中、候補者の第一声に耳を傾ける人々=26日、相模原市
雨の中、候補者の第一声に耳を傾ける人々=26日、相模原市

任期満了に伴う相模原市長選が26日、告示され、諸派新人で看護師の武嶋俊子氏(50)、無所属新人で大学教授の野元弘幸氏(61)、無所属新人で市民団体役員の建部由美子氏(75)=共産推薦、再選を目指す無所属現職の本村賢太郎氏(52)、無所属新人で元市議の沼倉孝太氏(75)が立候補した。

リニア中央新幹線の新駅予定地を巡る整備事業や子育て支援などが争点となり、4月9日に投開票が実施される。

子育て支援から始める街づくり

武嶋氏は午前9時過ぎ、市役所前で第一声。改善されない少子高齢化問題を挙げ、「私たちの世代が政治に無関心でいた結果。政治に無関心でいられる時代は終わった」と呼び掛けた。

看護師として1人暮らしの高齢者や経済的に余裕のない世帯を目の当たりにし、自身にも訪れる老後の医療、介護や社会保障の体制に不安を感じるようになったという。高齢者支援などを維持するためにも少子化問題に取り組む必要があるとの立場から、「子育て支援は社会を健全な状態で維持するための必要経費」と強調した。

高齢者や障害者も含めた「皆に優しい街づくり」に向けて子育て支援から始めるとし、出産費用や18歳までの医療費の無償化などを公約に掲げる。

リニア開発のお金で若者支援を

野元氏は午前9時15分ごろ、相模原市中央区の事務所前で第一声を上げた。支援者が見守る中、「リニア開発に使うお金を子供や若者支援に使っていくのか問われている選挙だ。子育て、教育をしやすい街に全力で取り組んでいく」と訴えた。

前回市長選では直前で立候補を断念した経緯もあり、「ようやく『一票入れていただきたい』と訴えることができるようになった」と強調。「市民の声を十分に聞かない今の市政を続けていいのか」と声を張り上げた。

前回選の投票率が50%に届かなかったことを「残念」とし、「とりわけ若い方に関心を持っていただきたい。私に入れていただければ、必ず市政を変える」と呼び掛けた。

平和で豊かな、住み続けたい市に

建部氏は、相模原市中央区の商業施設前で第一声を上げた。「これまで小さなつぶやきを大きな声につなげていく活動をしてきた」とアピールし、「平和で豊かな、住んでいてよかった、住み続けたい相模原のために頑張る」と語りかけた。

リニア中央新幹線関連事業に反対し、「(駅前の大型開発に)税金を使うのはとんでもない。生活に根差した施策にこそ使われるべきだ」と強調した。

立候補を決意した思いとして「私たちの世代ではセクハラにもパワハラにも声を上げられなかった。そんな皆さんの小さな声をぶつけていきたい」と述べ、支持を呼び掛けた。演説には共産党元衆院議員の畑野君枝氏らが応援に駆け付けた。

「顔の見える市長」再選を目指す

本村氏はかつて母が居酒屋を営み、自身も2階で暮らした建物の前を第一声の場所に選んだ。「地域の皆さんに育ててもらった」。午前11時ごろ、駆けつけた支援者や地域住民たちに語り掛け、「誰もがこの相模原に住んでよかったと思える市政に変えていきたい」と訴えた。

行財政構造改革で財源を生み出し、「子育て、教育、街づくり」の3点に特化した政策を展開したいと主張。「少子高齢化社会の中で、この街を次の世代につないでいく」として、子育て支援拡充、中学校完全給食実施、公共交通充実などに力を入れるとした。

「顔の見える市長として地に足を下ろして進んでいく」。再選を目指して意気込み、人々から「頑張れ」と拍手が送られた。

ビオトープ整備、蛍飛び交う里山

沼倉氏は午前10時過ぎ、相模原市中央区の住宅街にある会社駐車場で第一声を上げた。「このままでは『そこそこ』の市で終わってしまう」と述べ、「財源を確保し、豊かで住みやすい相模原を次世代につなぐのが私の使命だ」と決意を語った。

地域活性化のため、市内への小田急線延伸実現を目指した新たな街づくりを提唱。「少子化社会で都市が縮小する中でも、鉄道延伸でまだ相模原は大きく変われる」と訴える。

また、リニア中央新幹線新駅周辺に関して掲げるビオトープ整備については「蛍が飛び交う里山にしたい」と説明した。このほか津久井地区の山間部に桜を植樹し、桜の名所とするなどの観光振興策を打ち出している。

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