ボルボのステーションワゴン「V60」に設定された限定モデル「リチャージ・ポールスター・エンジニアード」に大谷達也が試乗した。かつて“空飛ぶレンガ”と称された「240」のスポーツモデルの流れを汲むV60の高性能バージョンの完成度とは?
“ポールスター”とは?
ポールスター・エンジニアードが手掛けた最終モデル、ボルボV60リチャージ・ポールスター・エンジニアードに試乗した。
ポールスターが設立されたのは1996年のこと。もともと彼らはレーシングチームで、ボルボの「850」や「S40」をレーシングカーに仕立て、スウェーデン・ツーリングカー選手権などに参戦していた。
やがてポールスターはボルボの量産車開発にもかかわるようになり、エンジンをチューンナップするソフトウェアやコンプリートカー「S60 ポールスター」などを手がけてきたが、2015年にそのブランド使用権と量産車開発部門をボルボが買収。
残るレース部門はサイアン・レーシングとして再出発を図ったという経緯がある。
そんなポールスターはボルボ・ブランドからも独立し、電動化されたハイパフォーマンスカーのみを扱うプレミアムブランドとして再出発することが2017年に発表された。
その後もポールスター・エンジニアードはボルボのハイパフォーマンス・グレードとして生き続けてきたものの、どうやらそれも今回のV60リチャージ・ポールスター・エンジニアードが最後で、ボルボ製品に“ポールスター”の名前が使われるのは今回でなくなると見られる。
新世代のスポーツワゴン
最終モデルのV60 リチャージ・ポールスター・エンジニアードはいつも以上に気合いが入っていて、4気筒2.0リッター・ガソリンターボエンジンの最高出力は317ps(253ps)、最大トルクは400Nm(350Nm)と、いずれも大幅に強化されている(カッコ内はカタログモデルであるV60 T6 AWD プラグインハイブリッドのスペック)。
注目は、サスペンションに22段階の減衰力調整が可能なオーリンズ製DFVショックアブソーバーと強化スプリングを採用している点。さらにフロントブレーキにはブレンボ製6ピストン・キャリパーを装備したほか、ストラットタワーバーや10インチ鍛造ホイールなどを装着し、ダイナミックな走りを足下から支えようとしている。