京都市の立命館大3年、浜野日菜子さん(21)が劇薬のタリウム摂取により殺害された事件で、殺人罪で起訴された知人の不動産賃貸業、宮本一希被告(37)の叔母(61)が約3年前から意識不明の重体となっており、当時採取した検体を鑑定したところ、タリウムが検出されたことが25日、捜査関係者への取材で分かった。大阪府警は事件との関連を慎重に調べている。
捜査関係者らによると、叔母は令和2年7月中旬、頭痛などの体調不良を訴え、病院を受診。数日後に京都市左京区の自宅で倒れて救急搬送された。当時原因は分からなかったといい、現在も入院中。意識不明の重体だという。
府警は浜野さんの事件を捜査する中で、叔母の容体を把握。当時採取した検体からタリウムの検出を確認したという。叔母には重い持病はなく、自殺を図る動機もなかったとみられ、府警は何者かに摂取させられた可能性があるとみている。
知人らによると、叔母は京都市内で茶道裏千家の講師として活動するかたわら、不動産会社を経営していた。宮本被告は叔母が倒れて以降、叔母の会社の代表取締役に就任しているといい、府警が経緯を調べる。
宮本被告は昨年10月12日未明、京都市北区の浜野さんの自宅マンションで浜野さんにタリウムを摂取させ、同15日にタリウム中毒による重篤な呼吸不全で殺害したとして、大阪府警に今月3日、殺人容疑で逮捕され、大阪地検が24日に起訴した。
浜野さんの吐瀉物(としゃぶつ)や尿からは致死量に達するタリウムが検出された。府警は宮本被告が浜野さん宅で2人で飲酒していた際に、酒にタリウムを混ぜたとみており、引き続きタリウムの入手経路を捜査する方針。