回転ずし店など外食チェーンで拡大した迷惑動画問題を受け、くら寿司が人工知能(AI)による新システムを導入するなど、各社が対応に追われている。動画の標的になった店の多くはセルフサービス方式。人件費を抑えることで「安さ」を売りにしていた店は、ビジネスモデルの見直しを迫られかねない。対策でコスト高が進めば、値上げで消費者の生活にも影響が及ぶ可能性がある。
手元に取ったすし皿を再び回転レーンに戻す迷惑動画がSNS(交流サイト)に投稿されたくら寿司は「お客さまとの信頼関係が危機にさらされている」と懸念。会計業務を効率化するため皿を自動集計するAIカメラを取り入れていたが、迷惑防止対策のためにシステムを改良し、国内の全532店で導入した。
回転レーンを流れるすしカバーが何度も開閉するなど異常を検知すると本部にアラーム音で知らせ、迷惑行為のあった皿の即時撤去や利用客への声かけを徹底。場合によってはその場で警察に通報するなど強い対応も想定する。
湯飲みや回転レーン上のすしに唾液を付ける動画が拡散された「スシロー」では全国の店舗で順次、客席と回転レーンの間にアクリル板の設置を進め、食卓に置いた食器や調味料を希望があれば交換する体制に切り替えている。